訴訟・調停

敷金問題

はじめに・・・

返ってくると思っていた敷金が返ってこない。少額だからといって泣き寝入りしていませんか。少額だからといってあきらめる必要はありません。通常の使用による退去であれば、敷金返還の糸口はきっと見つかります。

敷金とは何ですか?
敷金とは、不動産の賃貸借契約関係から生じる一切の債権を担保する目的で賃借人から賃貸人に差し入れられる金銭のことをいいます。一切の債権とは、おもに未払賃料や賃借人が不注意で賃借物を壊した場合等の損害賠償債権があげられます。通常、賃貸人は賃借物の明渡完了時にそれらを敷金より清算して残額を賃借人に返還します。そのため、通常であれば敷金は全額、賃借人へ返還されるべき(返還が予定されている)金銭といえるでしょう。
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敷金と保証金、権利金、礼金との違いはなんですか?
賃借人が差入れる金員として、主に次の3つがあげられます。
①保証金 おおむね敷金と同様に、明渡時に返還を請求できます。ただ、契約に際し、一定期間ごとに一定の金額又は割合を償却し、賃貸借終了時にその分を償却費として 差引くよう定めたり、一定期間据置後長期の分割払いで返還するよう定めることも多く、契約書の各条項に注意する必要があります。
②権利金 その性質は敷金のように一義的ではなく、それぞれの契約ごとに異なるようですが、主に賃貸借契約の締結によって受ける営業上又は場所的な利益の対価、ある いは賃料の前払い、または賃借権の譲渡が許されたことの対価のうち、いづれかの意味で支払うことが多く、契約終了後も原則返還されません。 ただし、予定 した契約期間の満了前に契約を解除した場合には、予定した利益を得ていないと考えられるため残存期間に対応する割合で金銭の返還を請求できる可能性があ り、また、前払いに対応する期間より早く契約を解除した場合にも同じことが言えます。 なお、一概には言えませんが、借地契約や営業用建物の賃貸借の場合 に権利金を支払うことが多く、居住用建物の場合には少ないようです。
③礼金 物件を貸してくれた賃貸人への謝礼の意味で支払う金銭をいい、契約終了後も原則返還されません(儀礼的なもので、金額も賃料の1、2ヵ月分が相場のようです。)。ただし、その額が高額で、②の権利金の意味を含む場合には、②と同様に返還が請求できる余地もあります。
その他にも様々な名目で賃借人から賃貸人へ金員を差入れることがあり、その性質も一概にはいえません。そのため、名目だけにこだわらず、契約書や領収書を精読のうえ金員の性質を検討する必要があるでしょう。

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敷金の返還について、どのようなケースでトラブルが発生しますか?
賃貸借契約を終了し、賃借人が賃借物を明渡した後も、賃貸人が敷金の全額又は一部の返還に応じないといったトラブルが起きる原因は、賃貸人と賃借人の原状回復義務に対する認識の違いにあります。 つまり、賃貸人は、賃借人には賃借物を借りた当時の状態に戻して返還する義務があると主張し、さらに、自らの負担をできるだけ少なくして次の入居者を確保したいと考えます。  そのため、賃借人の差入れた敷金から、原状回復に要する費用を差引き、それでも足りなければ追加請求をしてくるのです。しかしながら、それではこれまで賃料を支払ってきた賃借人は、釈然としません。 というのも、賃借物が長年の使用によって古くなり、その価値が減少していくのは当然のことですから、賃貸人もそれを見越して賃料を設定しているはずです。それなのに、退去時に賃借人の負担(敷金よりの支出)で内装等を一新し、借りた当時のまっさらな状況にまで回復しなければならないとすると、賃貸人の二重取りと考えられ、納得がいかないのも無理はありません。
また、ほとんどの賃貸借契約は、契約書に賃借人が上記の原状回復義務を負うという特約事項が定められており、賃借人もそれを了承して契約した(その証拠に契約書に署名・押印している)という形態になっています。
そのため、賃貸人は、なおさら強硬に上記の原状回復を迫ってくるのですが、賃借人としては、契約時にその特約事項に関して詳細な説明を受けたことはほとんどなく、仮に説明を受けていたとしても、退去時の原状回復にいくら位の費用がかかるのかを予測できないと思われます。
そもそも、賃貸人が示す契約書を了承しなければ借りられないという立場にあったはずで、それを後になって納得済だったといわれてもすっきりとしません。
上記のことを考えると、賃貸人の主張する原状回復義務は、賃借人にとって大変不公平なものに感じられるため、当事者間でトラブルが生じるのも無理はないのです。

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賃借物の明渡時における、賃借人の原状回復義務とは何ですか?
賃借人の原状回復義務としては、賃貸借契約の継続中、賃借人は賃貸人に対して、社会通念上要求される程度の注意をもって賃借物を保管する義務(善管注意義務)を負っています。 
  そのため、賃借人がこの義務に反して、不注意や故意に、あるいは予定された使用方法以外の使用をして賃借物を汚したり壊したりすると賃貸人に対する債務不履行(約束違反)となるため、その修繕費用等を弁償しなければなりません。
  また、賃貸借契約終了時には、賃借物を現状に回復して賃借人に返還する義務(原状回復義務)がありますが、ここでいう原状回復とは、賃借人が賃借物の中に 持ち込んだ物を取り除くということをいい(収居義務)、古くなったり汚れたものを賃借人が入居した当時の新品の状態にまで戻すことまでを要求するものでは ありません。
  通常、敷金返還問題における原状回復義務といえば、上記善管注意義務違反による賠償義務と収居義務程度の原状回復義務のことをいいます。
まとめると、一般的には以下のようになります。
賃借人の原状回復義務 賃貸人が負担すべき費用
善管注意義務違反 原状回復 経年変化 通常損耗
注意義務違反、故意・過失、その他通常の使用を超えるような使用による汚れ、破損等 部屋の中の荷物やゴミなどの撤去
家具やエアコン等の撤去
建物・設備等の自然な劣化等 賃借人の通常の使用により生じる損耗

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賃借人の原状回復義務の具体的な判断基準はありますか?
どの程度の汚れや破損が賃借人の負担において修繕しなければならないものなのかという判断は、ケースごとに状況が異なるため難しいものがあります。しかしながら、現在の実務においてはトラブルの未然防止と円満な解決という観点から、賃貸人と賃借人が予め理解しておくべき一般的なルールとして、国(国土交通省)がまとめた「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(平成10年3月公表、平成16年2月改定)や過去の判例を問題解決の基準としています。

国土交通省 原状回復をめぐるトラブルとガイドライン


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賃借人の過失によるキズや汚損・タバコのヤニ等はどうなりますか?
賃借人の責めに帰すべき故意又は過失により賃借物を汚したり壊したりした場合は、賃借人の負担において補修するのが原則です。タバコのヤニによるクロス等の汚れについても、通常のクリーニングで除去できない程度にひどいものであれば、原則的には賃借人の負担となります。
しかしながら、賃借人が回復義務を負う場合でも、賃借人が賃借物を契約当初の状態に回復するまでの費用を負担する必要はありません。というのも、通常の使用によって古くなる分は、本来、賃貸人が負担する費用のはずですから、賃借人としては経過年数を考慮し、破損等がなかったと想定したときの現状(通常の使用をしていたときの現状)にまで回復すれば足りることになります。

そのため、賃借人の負担する原状回復費用の負担割合を定める際には、破損等の対象物の耐用年数がポイントとなります。

判断基準の一つとして、柱や壁、床、便器や浴槽など耐用年数が長期に及ぶ物については、賃借人の過失による特にひどいキズや汚れは、基本的には賃借人の負担と考えられます。

次に、畳やクロス、フスマなどの耐用年数が短期の物については、入居した期間によって負担割合が違ってきます。

つまり、畳やクロス等の耐用年数が4~5年とすると、5年間入居すれば、賃貸人はクロスの価値に見合う費用について、既に賃料から回収していると考えられますので、仮に賃借人の過失による汚損やキズがあったとしても、賃借人が負担する費用はありません。

また、耐用年数より短い期間で退去したときも、全額負担する必要はなく、入居経過年数に応じた償却費用を控除して残額について、賃貸人と按分するといった考え方もあります。
これらをまとめると
1.柱/壁/床/浴槽/便器など(耐用年数が長期)
ア.通常使用による損耗   イ.注意義務違反による
*   *
賃貸人負担   超過損耗賃借人負担

2.クロス/畳/フスマなど(耐用年数が短期)
ア.通常使用による損耗   イ.注意義務違反による超過損耗
*   * *
交換費用全額   耐用年数内 耐用年数外
*   * *
賃貸人負担   償却費用を控除した残額を按分した金額 交換費用全額
    * *
    賃借人負担 賃貸人負担

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原状回復費用を賃借人の負担とする特約は有効ですか?
敷金については、賃貸借契約書に賃借人の修繕義務、原状回復義務、損害賠償義務という形で特約事項が設けられるのが通例で、この特約の効力や解釈をめぐって紛争になることが多くあります。賃貸借契約書に特約を盛り込む趣旨は、通常損耗によるものであっても賃借人の負担とし、賃貸した時点の状態にまで賃借人の負担で回復させることにあるようです。

特約は、原則、自由かつ有効に締結することができますが、特約がそのまま適用されてしまうと賃借人に新たな義務を発生させ、賃借人に一方的に不利となってしまうことが多いため、その解釈や認定にあたっては慎重に行うとするのが判例の取扱です。

これまでに蓄積された多くの裁判例においても、特約締結に際し
[1]特約の趣旨について賃貸人が賃借人に十分な説明をしたこと
[2]賃借人がその内容を理解したこと
[3]賃借人が負担の意思を明示的に示したこと
といった場合でなければその効力を認めておらず、特約を制限的に解釈しているようです。

以上のことを考えると、特約が存在するからといって、必ずしもその文言どおりに費用負担をしなければならないというわけではありません。

また、消費者契約法第10条においても、消費者の権利を制限し、または消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、消費者の利益を一方的に害するものを無効とする旨の規定がありますので、この規定が賃貸借契約にも適用されるのが通例だと考えられます。

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敷金は、どのくらい戻ってきますか?
賃貸借契約終了(家屋明渡完了時)の際に、未払賃料や自らの故意過失で賃貸物を毀損した場合の損害賠償債務等がなければ、敷金は全額返ってくるのが原則で す。しかしながら、賃貸人もそう簡単には敷金を返還しないことが多く、いざ裁判となっても立証の困難等から和解となるケースが多いようです。

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家主が敷金を返還しない場合、どうすればいいですか?
まずは当事者間での話合いにより解決方法を探ることがもっとも重要で、このとき、宅建業者や管理会社が間にはいることも多いようです。しかしながら、賃貸 人が話し合いに応じない場合や返還の意思が全くみられない場合には、最終的には裁判に踏み切ることになるでしょう。その前段階として、内容証明郵便を使い 敷金の返還を請求するという賃借人の意思を記録に残る形で伝えることも有効です。ただ、内容証明郵便は、相手方に対し法的な手段を取る準備があるとの威圧 感を与えてしまうため、かえって相手を逆なでしてしまう場合もあります。そのため、事前によく相手方の様子を探り、裁判外での話合いによる解決が図れない かを検討した上で発送する方が良いでしょう。
  また、法的手続きをとる際には、簡易裁判所の少額訴訟手続や民事調停手続を利用するのも有効と思われます。少額訴訟は少額(60万円以下)の金銭の支払い をめぐるトラブルを少ない費用で迅速に解決することを目的とした手続きです。民事調停手続きは調停委員と呼ばれる方が紛争当事者の間に入り話し合いを進 め、当事者がお互いに譲歩しあって合意を形成し、紛争を解決する手段です。
  両手続きとも、もよりの簡易裁判所に申立書式は配置してあると思いますが、複雑なケースや相手方がとことん争っている場合は、司法書士や弁護士といった専門家に相談すると良いでしょう。

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敷金返還請求を司法書士に依頼した場合のメリットはありますか?
特別の研修を受け、法務大臣の認定を受けた司法書士であれば、当事者の代理人として、相手方と直接、敷金返還(140万円まで)の交渉ができます。仕事をしながら、相手方と交渉するのは煩わしいものです。司法書士なら比較的低額な報酬で和解交渉ができます。
また、和解が不成立の場合も、140万円までなら当事者の代理人として訴訟手続きも遂行できますので、忙しい依頼人は仕事を休んで裁判所まで出向く必要もありません。
※1 司法書士が債務整理について債務者の代理人になるには次の要件があります。
その司法書士が簡裁代理権の研修を終え認定を受けていること。
紛争にかかる金額の経済的利益が140万円を超えないこと。

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敷金返還請求を司法書士法人リーガルシップに依頼した場合の報酬はどれくらいですか?
司法書士や弁護士の報酬は自由化になりましたので、依頼される場合はよく比較されるといいと思います。 敷金返還に関する司法書士法人リーガルシップの報酬額基準は以下のとおりです。

解決手段 報酬額 備考
内容証明 12,600円~21,000円 郵便代実費別
裁判外和解交渉 返還額の20%(税別) 通信費実費別途
訴訟による解決 訴額の30%(税別) 印紙代・切手代別

その他の報酬は、弁護士報酬司法書士報酬へ

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